Marina’s blog

マレーシアの大学で日本語を教えている協力隊のブログです

少しだけ協力隊らしい話

ここ最近は、まとめの時期です。いろいろな区切りを迎えようとしています。

今学期を振り返り、1年を振り返り、協力隊生活の前半を振り返り、まとめて行く作業をしなければなりません。

1月には12ヶ月報告書の提出、総会での中間報告もあります。

そんな時期ではありますが、ここ数週間は別の報告書を作成していました。配属先に提出する予定の、活動報告書と提案書です。直訴とまではいかないですが、MJIIT日本語教育の現状について配属先の院長、副院長といった上の方々をはじめとした関係者、JICA事務所の方々に知ってもらって、根深く複雑な課題を少しでも前に進めたいからです。

 

一言では言えない配属先の課題

私の配属先の日本語教育にはいろいろな課題があります。その中でも一番大きいのは、配属先に公的な位置を持つ日本語教育ユニットが存在しないことです。これについて前にJICA事務所で話し合いの機会をもらったものの、前に進んでいません。Japan Dayが終わってから、また配属先(MJIIT)のJICA専門家の方がきっかけを作ってくださり、打ち合わせをする予定でした。しかし問題が何なのかはっきりしていない、ということで延期になりました。専門家の方もそうですが、現場の日本語教育の事情を知っているのは、現場の教師しかいないのです。これまでも、配属先やJICA事務所で話し合いをするときは、前提となるバックグラウンドをちゃんと知らない人たちと話すことになるため、説明に時間がかかってしまったり、うまく伝わらなかったりすることが多く、これはちゃんとした形でまとめて見せないとだめだなと思っていました。なので今回私が報告書を作成して、課題をはっきりさせてから打ち合わせをしようということになりました。そのための報告書です。

課題が複雑なのには様々な要素があります。まず授業そのものにいろいろなバリエーションがある(授業管理者、教師による担当部分、対象の学生、授業形態、人数、レベル、目的、抱える課題)。学生のニーズもさまざまで、JOCVの活動に関しては、“会話の要望が高い”、“授業時間が足りない”、“日本語教育を盛り上げたい”など、非常に曖昧なものでした。また教師間の人間関係も大きな課題の一部。このような状況で何が1番の課題なのか、これらをまとめると思うと、筆が上がらず、時間がかかってしまいました。

最終的に、今回の提案書に書いた提案は大きく2つ、日本語教育のビジョンを明確にすること、それから、MJIITの日本語教育におけるJICAの技術移転に見通しを付けること、です。

今の配属先MJIITはUTMという大学内に、新たにできた特別な機関です。そのため、UTM所属の日本語教師と、プロジェクトとして関わっているJICA所属の日本語教師が、MJIITで日本語を教えています。なので本人であるMJIITの中に所属する日本語教師はいません。

この状況に付随して、先ほどいった二つの機関UTMとJICA(MJIIT?)の間に溝があることが、私が来る前の1番の問題でした(少なくともそういう理解でマレーシアに来ました)。実際に来てみると、そこまでその溝はひどくなく、タイミングの問題だったのか、今はUTMの先生方と個人的にはだいぶ仲良くなりました。まだ授業では共同の機会がないのが現状ですが、先輩隊員が言うには、かなり状況が良くなっているとのこと。

また、活動している限り、二つの外部機関がMJIITで教えていることによる不便なことはそれほどないし、UTMの先生方とも業務の住み分けができているので、ちょうど良い距離感で、お互いにとってやりやすい体制ができていると思います。

しかし、将来のことを考えるとこのままでは問題があります。さらにいえば、そのことについて多分配属先は何も考えていないので、それが問題です。いつまでもボランティアが来てくれると思っているような気がします。そもそも工科大学なので、日本語教育について詳しい人はいないし、新しくできた大学には日本語教育の課題よりも、優先すべきことが多いので、とりあえず回っているように見える日本語教育に、大学の上の人が労力を費やすことはありません。

でも、いつかはJOCVの派遣が終わる。もしこのままなら、今私たちがやっている課外授業や、大学院授業や、文化関係のことや、環境整備や学習支援…つまりUTMが担当している学部必修授業以外の全ては、消えて無くなってしまいます。もちろん、そうならないようにどうにかするんでしょうが、その時が来てからでは遅いので、今から組織のこと考えていきましょうよ…という内容を今回伝えたい。

そのため、バックグラウンドを知るためのものとして現状についてまとめた報告書と、MJIITへの提案とその理由を書いた提案書という形にしました。先輩隊員に何度もチェックしてもらい、調整員さんにもご意見いただき、書類としては良くなってきたと思います。書いてるうちに私の頭の中も整理されてきました。もう少し推敲してから提出予定です。

 

私の役割ってなんだろう

日本語教育」という職種は、日本語を教えるだけじゃない、というのはわかっていましたが、まさか大学の組織うんぬんの話に口を出すことになるとは思いませんでした。でも、今やっていることは配属先の将来にとって本当に重要なことだし、いつかだれかが考えなければいけないこと。そして、なんだか今までで一番協力隊っぽいことしてるなぁ、と感じています(笑)私は3代目のボランティアなので、初代、2代目の先輩方は、本当に大変だったろうと思います。それでも、こつこつ配属先の状況を理解し、ニーズを探ってくれていたおかげで、今私がいる配属先の日本語教育はかなりよくなってきていると、周りの方から聞いても感じます。3代目の自分は(5代目までは来ることが決まっているので)中堅として、前半で得た情報やニーズ、積み上げた体制を、将来的に継続させる、技術移転していくいにはどうすればいいかを考える立場なのかな、と最近少しずつ理解してきました。今取り組んでいるこの課題は、将来のために、生半可ではなくしっかりと考えて、周りに伝えていくべきことだと理解しました。複雑な課題は、悪く言えば、かなり面倒くさい課題でもありますが、これが自分のやるべきことだと自覚できたので、やりがいをもって取り組めています。それにきっと協力隊員だからこそできることでもあるので、楽しみながら周りを巻き込んでいきたいです。

あとは何より、後輩隊員が悩まなくて済むように、引き継ぐにしてもやりやすいように、そしてもっと日本語の授業や教え方について悩めるように、させてあげたいなというのも今のモチベーションです。先輩気取ってますね(笑)

以前、今後の打ち合わせについてJICA専門家の方と話している時に、「JOCVが幸せに活動できるようになることを考えましょう」と言ってくださって、それがすごく胸に響きました。私たちはどれだけ恵まれた現場にいるのかと。私も今は後輩隊員にとってやりやすい、日本語教育において学びの多い、2年間になってほしいと強く思っています。そして残り1年間、自分にとっても。

 

ということで、まずこの報告書を近々JICA専門家の方など関係者の方に提出し、専門家の方と相談しながら今後の打ち合わせの予定を立てて、カウンターパートである副院長との話し合い、そのあとで関係者の方々と話し合いができたらと思っています。うまく伝えられるように英語も勉強しておかなきゃいかんです。がんばります。

 

まじめな内容になりましたが(いつものことか。)、今学期の授業は明日の最後の会話クラス4時間と大学院クラス1時間でひと段落します。(課外授業は続くけど)

とりあえず明日の授業を楽しく終えて、報告書を出して、すっきりとした気分で、クリスマス、年末を迎えたいです!