Marina’s blog

マレーシアの大学で日本語を教えている協力隊のブログです

Week7のまとめ 学部授業1週目

中間休み明けの今週は、今学期初の学部クラス(学部生向け必修日本語クラス)がありました。

 

学部クラスは今いる大学の大元の大学(マレーシア工科大学)所属の先生が担当でその先生方が文法を教えていますが、会話のクラスだけ協力隊が担当しています。

時間の問題で会話にはあまり時間を割けないようで、2〜4課分の文法が終わった時点で、会話をまとめて1回で教えるという感じ。なので、私たちの出番は3週間に1回くらいしかありません。しかし、会話クラスがある週にはまとめてクラスが入って来るので、その週はちょっとバタバタします。例えば今週の水曜日はこの学部クラスが2クラス(4時間)と、もともと毎週あるJLPTクラスが2クラス(3時間)あったので、なかなかにハードでした。

 

教材は「みんなの日本語」初級Iで、会話クラスは各課の練習Cの部分を教えるようにお願いされています。あとは特に細かい指定がないので、自由にやらせてもらっています。

今週は8〜11課の内容を2時間で。6クラスあったので、隊員2人で3クラスずつ教えました。

 

クラスによって人数も男女比も民族比もばらばらで雰囲気も違うので、どんなクラスかなとドキドキわくわくしながらいつも教室へ向かいます。

 

今週私が担当した3クラスのうち1クラスは、今年の夏に あるプログラムで日本に行った学生が多かったため、日本語に対しても積極的な印象でした。反応も良くとてもやりやすいクラスでした。

残りの2クラスは、かなり静かな印象でした。中にはペアワークに消極的な学生もいたし、勉強だる〜という顔つきの学生もいました。それでも全員出席していたし、当てれば話してくれるので、とりあえずはよかったです。

今学期はあと2回ずつ同じクラスに入ることがあるので、次はもっと楽しいと思えるような授業にしたい。

 

今回の授業の中で一番心に残った、というかショックだった出来事は、「〜が好きですか?」の練習をしていたときのこと。

初めはいくつか写真を出して、「猫が好きですか?」「ドリアンが好きですか?」のような質問を作り、「はい、好きです。」「まあまあです。」「好きじゃないです。」「きらいです。」を答える練習をしました。次に学生にこの文を使って友達に好きですか?と尋ねてもらいました。

ある学生が「MJIITが好きですか?」と女子学生に尋ねました。(MJIITは大学の名前です)その時点で周りから笑いが起こっていて、学生の答えは「きらいです。」そしてまた笑いが起こる。まるで学生の中の共通認識かのようでした。

 

日本語の学習としてはいいんですが、私はこれにショックを受けました。学生が自分の大学を嫌いだと思ってる。学生の本当の気持ちは分かりませんが、少なくとも「すきじゃない」ではなく「きらい」なんだなーということ。

その学生には「どうして?」とは聞けませんでしたが、あとからそれについて別の人に話し、考えていました。

後から知ったことですが、最近大学の学費がかなり上がったとか、それも日本に行く機会を増やすためだとか。それ以外に、もともとスタッフの仕事が遅いとか対応が悪いという話も他の人からは聞いていました。

私は自分の大学が好きでした。きらいと思いながら毎日通うのってそれだけでモチベーション上がらないよなぁ、と思います。

大学の仕組みやスタッフの態度に対して、私ができることはほとんどない。

だから、その「きらい」を聞いた時に、学生が哀れに見えてしまいました。そして、せめて日本語の授業は楽しんでほしいなぁ、と思いました。

 

話は変わりますが、金曜日の夜。

学内のホールで中華系の学生主催のMid-Autumn Festival (中秋節のお祭り)というイベントがありました。

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中国系の音楽や、インド系のダンス、中秋節にまつわるお話から作ったオリジナルビデオの上映、歌、コマ回し、ストリートダンス、クロストーク(漫才?)などなど。MJIITだけでなく、UM,UKM,UPMといった他の大学からもパフォーマーを呼んでのイベントでした。大学の先生や、中華系だけでなくマレー系やインド系の学生も見に来ていました。

イベントは全て学生によって企画運営されていて、学生クオリティな部分は見ていて微笑ましかったけど、イベント作り、ビデオ作成などはかなり本格的で、さすが工科大学の学生、映像編集やものづくりが本当に上手です。

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(大盛り上がりだったビデオのクライマックス。手を繋いで フー!きゃー!みたいな。マレーシアの学生は非常にピュアです。笑)

 

やっている方も見ている方もとても楽しんでいて、いきいきしていてキラキラしていて見ていて嬉しくなりました。

そして、こんなふうにいろんな可能性や能力を持っている学生の力を発揮できるイベントや機会がもっとあったらいいなぁ…と思いました。

 

今週は学生のいろんな側面が見えた週でした。まだ若い大学であり、特殊な大学でもあり、いろいろと困難もありますが、学生は学生。この大学には何か良い雰囲気ができたら、いろんな能力が良い方向に連鎖的に発揮されて行くんじゃないかなと思いました。

私がここで日本語を教える理由はなんだろう?と難しく考えていた時もありますが、今は日本語を通して、または私との会話を通して、学生の中にちょっとでも楽しさを感じたり、息抜きになったりという良い感情が生まれること、新しい発見があったり、他の人と話すきっかけになったりという、いつもと違う何かに出会う機会を得ること、そういった些細な変化をもたらせたら、こんなに幸せなことはないなぁと思います。

 

…ところで、今週の学部クラスは初回だったので、新しい先生が来た!という目新しさで2時間いけたけど、あとの2回はそうはいかないでしょう。作戦ねりねり頑張ります。