Marina’s blog

マレーシアの大学で日本語を教えている協力隊のブログです

Week4 / 日本語教育セミナー

Week 4

今学期4週目の先週は日本語能力試験(JLPT)対策のクラスが開始しました。

今学期のJLPTクラスは約100名が登録。N5とN4が約40名ずつで、N3が約20名、N2希望も数名いました。毎回人数が増えていて、ニーズの高まりを感じます。

体系づくりを始めた前学期から改善したのは、まずコース登録のしかた。以前はメールで1人1人連絡をもらっていたのですが、今回はGoogle formを使ってまとめがかなり楽になったのと、formの中にJLPTなどに関する質問を入れることで、今まで取れていなかった学生の日本語力や学習経験などのデータを取れるようになりました。

もう一つは、授業の時間を固定したこと。前の学期は、それぞれのクラスの学生と相談して一番良い時間を決めていたのですが、学生の増加に伴い今学期は学生の授業が基本的に少ない水曜の夕方と木曜と金曜の午後に固めてもらいました。今学期はJOCVが学部必修の担当になったこともあり、課外クラスを入れられる時間があまりなかったので、時間を固定することで時間調整の煩わしさがなくとても良かったです。前の学期は時間調整がとにかく一番大変だったので、この件を提案してくださった先輩とカウンターパートの先生に感謝です。

私はN4とN3、12月の受験を目標にする通年のクラスを担当することになりました。なのでうまくいけば来学期、きりよく帰国前まで同じ学生を教えられます。

前の学期のJLPTについて振り返ると、N5クラスはうまくいっていた(学生もほぼ欠けず、受験までの時間管理ができ、結果も良かった)のですが、N4クラスはうまくコントロールすることができませんでした。個人のレベルの差に対応できず、レベルを下に合わせてしまった結果、本来のスケジュールから遅れ、できる人をだらけさせてしまいました。予定していた範囲も終わらなかったし、結局学生も減ってしまった。クラスのレベルというのは、予めちゃんと設定した上で、下(勉強してない人)に合わせすぎてはいけないということを学びました。語彙や練習が足りない人には、宿題や個別で対応するべきでした。

今学期はその反省を肝に命じて、見直したスケジュールに沿って授業を行うことが目標です。

限られた時間の中で、重要な学習項目に対してどんな練習方法を考えられるか、効果的かつモチベーションをさげない適度な宿題の出し方、少ない時間の中にどれだけ楽しめる要素を入れられるか、このあたりが工夫のしどころかなと思います。でもまだ自分でもうまく説明できない部分もあり、教案を考えながら自分も勉強しています。こんな状態ではなかなか楽しめる内容、なんていうところまで行くのは難しいなぁ。

 

そんなことを考えていたところで、この土曜日はマラヤ大学で行われた国際交流基金クアラルンプールの日本語教育セミナーに参加して来ました。

今回はイギリスのカーディフ大学の日本人教授による、タスク主導の言語教育がテーマのセミナー。

f:id:Sakutaro10:20180318210439j:image

タスクとは、課題のこと。ドリル(代入練習など)や自由度の低い機械的な練習とは違って、ある課題に取り組むプロセスの中で、必要な語彙や文法を使用していくものです。タスクを行うことで学習者のモチベーションを高めたり実践的な言語の習得が期待されます。

 

タスクを授業に組み込むことは、時間や教師のその課題に対する知識やキャパシティなどの制限がありますが、自由な中で学習者が言語運用していくのは理想的だなーと思いました。セミナーではグループワークを通してタスク主導の授業の組み方を考えました。用意されたモデルに当てはめて考えると、やはりとても教案を練りやすかったです。お互いのアイディアにコメントをつけたのですが、普段授業にコメントをもらう機会は少ないので、同じ日本語教師の方から意見をもらうのはすごく嬉しいことだと感じました。

f:id:Sakutaro10:20180318210740j:image

今の大学のクラスはかなりカリキュラムがきつく時間がない状況なので、実際に自由度の高いタスクをどれだけ授業に組み込めるか分かりませんが、今回勉強になったことをぜひいつか実践したいです。

また今回のセミナーの教授の言葉で印象に残ったのは、(私のような)経験の浅い教師は、初級の学習者と日本語で長く話すことができるようになると日本語教師としての成長につながる、というお話でした。今はどうしても英語に頼って(学生もわたしも)会話してしまうけど、日本語だけで話す機会を作れたらほんとにいいなと思います。